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　十四年まえの夏、未明、私たちは剣沢小屋を出発して、岩だらけの山道を、ヘッドライトを照らして、もくもくと歩いていた。
それから五時間後、一服剱、前剱、を経て、２９９８mの剱岳山頂の人になった。
　休日に、点の記　「剱岳」　の映画を鑑賞して、あの時の感動がよみがえってきた。
　私の登山記録によれば、あの日、群馬から９名、埼玉から１０名、合計１９名の山仲間が扇沢に集合し、立山黒部アルペンルートを通って、室堂に到着した。室堂から一の越、雄山、真砂岳、別山を経て、剣沢小屋に投宿した。
その翌早朝、剱岳を目指した。途中、疲労により、あるいは恐怖感に襲われ、８名がリタイアした。
最後まで頑張った仲間が１１名であった。
あの時、私は５２歳、妻４７歳であった。
　クサリもハシゴも取り付けてなかった昔、初登頂の難しさは、想像できる。映画は、その状況をみごとに表現していた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　いだ　）